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東京高等裁判所 昭和47年(ネ)1084号 判決 1973年1月30日

控訴人

千葉県信用保証協会

右代表者

岩沢善一郎

右訴訟代理人

糸永豊

控訴人補助参加人

株式会社富士銀行

右代表者

佐々木邦彦

右訴訟代理人

山根篤

外五名

被控訴人

石毛清春

主文

原判決を取り消す。

被控訴人は、控訴人に対し、金一、四三七、四〇一円及びこれに対する昭和四一年三月八日以降支払いずみに至るまで日歩四銭の割合による金員を支払え。

訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は主文第一ないし三項と同旨の判決を求め、被控訴人は、適式の呼び出しを受けながら当審において最初になすべき口頭弁論期日に出頭せず、よつて陳述したものとみなされた答弁書の記載によると、その控訴の趣旨に対する答弁は、「本件控訴を棄却する、控訴費用は控訴人の負担とする」旨の判決を求めるというにある。

当事者、補助参加人の事実上の主張ならびに証拠の提出、援用及び認否は、控訴代理人が甲第九ないし第一四号証を提出したほか、原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する(但し、原判決二枚目―記録一一丁―裏七行目に「弁済日」とあるのは「弁済期」と改め、原判決三枚目―記録一二丁―表五行目に「一月三一日」とあるのを「三月七日」と改める)。

当裁判所は、職権をもつて、被控訴人を本人として尋問することを決定したが、被控訴人は、昭和四七年一一月七日午前一一時の本人尋問期日に正式の呼び出しを受けながら、正当の理由があることの疎明をしないで出頭しなかつた。

理由

一控訴人が信用保証協会法に基づいて設立され、中小企業者らが銀行その他の金融機関から貸付等を受けるに当つて、その信用を保証することを主たる業務とする法人であることは当事者間に争いがなく、<証拠>によれば、控訴人補助参加人は昭和三九年一一月二八日山本幸雄に対し二五〇万円を弁済期昭和四〇年九月二七日、利息最初の一〇〇万円につき日歩一銭七厘、残りの一五〇万円につき日歩二銭五厘、の約定で貸し付けたこと、その際控訴人は山本の委託に基づき、控訴人補助参加人に対し前叙山本の同参加人に対する消費貸借上の債務につき保証人となつたこと、前記債務の弁済期が経過したので控訴人は、控訴人補助参加人に対し保証債務の履行として、昭和四一年三月七日右残元金一、三三七、八五八円及びこれに対する昭和四〇年七月一日から昭和四一年三月七日まで日歩二歩二銭五厘の割合による利息損害金九九、五四三円合計一、四三七、四〇一円を代位弁済したことが認められる。控訴人は「被控訴人が控訴人補助参加人との間で右の山本の消費貸借上の債務の履行につき連帯保証を約したこと及びその際被控訴人は山本とともに控訴人に対し、控訴人が控訴人補助参加人に対し右債務の履行につき保証をなすことを委託し、もし控訴人が被控訴人らに代つて弁済したときは、弁済金額と同額及びこれに対する弁済の日の翌日から日歩七銭の割合による遅延損害金の支払を約した」と主張し、その事実に基づき被控訴人に対し代位弁済による求償権を行使するものであるところ、被控訴人は、控訴人の右各主張事実を争うので、当裁判所は、控訴人の右主張事実の真否を尋問事項として被控訴本人を尋問するため、呼び出したのに、被控訴人は正当の事由を主張することなくして、呼び出しに応じなかつたことは、事実摘示のとおりであるから、民訴法三三八条を適用して右控訴人の主張を真実と認める。

以上認定の事実によれば、被控訴人に対する控訴人の請求は全部正当である。

二よつて、これと趣旨を異にする原判決は失当で、これに対する本件控訴は理由があるから、民訴法三八六条によつて原判決を取り消し控訴人の請求を全部認容すべく、訴訟費用の負担につき同法八九条、九六条を適用して、主文のとおり判決する。

(吉岡進 園部秀信 森綱郎)

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